循環器内科の対象疾患のご案内
循環器内科は、主に心臓や血管に関連する病気が対象疾患となります。 当院では、各対象疾患に応じて最適な診断方法を選択し、患者さんに最も適切な医療を提供することを心がけています。具体的には以下にしめす疾患と診断方法が挙げられます。
循環器内科で取り扱う疾患の分類
- 冠動脈疾患
-狭心症、心筋梗塞など - 不整脈疾患
- 心不全
-心臓機能が低下した状態 - 弁膜症疾患、大血管
-大動脈弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症などの心臓の扉の病気(弁膜症)や、
大動脈解離、大動脈瘤などの大血管疾患 - 末梢血管
-下肢動脈、腎動脈、頸動脈、鎖骨下動脈等の狭窄や閉塞
診断方法
現在は画像診断が発達しており、超音波(エコー)、CT、MRI、血管造影(カテーテル検査)にて診断可能です。
2024年10月より当院でも血管造影診療の稼働を開始しました。
1.冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞など)
冠動脈疾患は、心臓を栄養する血管(冠動脈)が、狭くなったり(狭心症)、詰まったりする(心筋梗塞)病気です。 狭心症の診断方法として、当院では心臓CTに力を入れています。
心臓CT検査はこの20年で著しい進歩を遂げ、現在では画像解像度が大幅に改善し、心臓カテーテル検査に劣らない精度で冠動脈の形態学的診断を行うことができます。また、当院では循環器内科専門医自らが画像解析を行うという全国的にも稀な体制を構築しており、その結果、形態学的評価(狭いか狭くないか)のみならず、狭窄の原因となるプラークの質的評価(やわらかいか、固いかなど)も行っております。
生活習慣の改善・薬物療法を基本に、血管内治療が必要となった場合、当科では心臓カテーテル治療(PCI: 風船やステントを用いた血管内治療)を行っています。重症病変の場合には、高度医療機関(日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院など)の心臓血管外科に治療をお願いしています。
冠動脈疾患の原因は冠動脈の動脈硬化であり、その原因となる運動不足、糖質栄養過多、喫煙などに対する改善努力については患者さんの協力が必要です。 狭心症・心筋梗塞は、心臓に血液を送る冠動脈という血管が狭くなったり詰まったりすることで起こる病気です。早期発見・早期治療が非常に重要ですので、気になる症状があれば、ためらわずに当院循環器内科までご相談ください。
【こんな症状があれば要注意】
狭心症の場合、数分から15分程度で治まります。引き続き、持続し、激しい胸の痛み呼吸困難などが起こった場合は、心筋梗塞の可能性があります。
- 胸の痛み、圧迫感
- 締め付けられるような、または押しつぶされるような感覚
- 左肩、腕、背中、顎への放散痛
- 息切れ、呼吸困難
- 冷や汗
- 吐き気、嘔吐
【こんな人は要注意】
動脈硬化、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、肥満、ストレス、加齢
当院循環器内科では、狭心症・心筋梗塞の専門医が、患者さん一人ひとりの状態に合わせた最適な医療を提供いたします。
- CVIT (日本心臓血管インターベンション治療学会) 名誉専門医1名、専門医2名
- 最新の医療機器を用いた、低侵襲なカテーテル治療
- 患者さんの生活習慣改善をサポートする、心臓リハビリテーション
2.不整脈疾患
不整脈疾患は、脈の乱れ、動悸を症状とする病気です。 心臓は筋肉でできており、そこに微量な電気が流れることにより心臓が拍動しています。その電気の流れの異常が原因で、脈の乱れや動悸が生じます。
その診断には、24時間心電図や1週間心電図などを活用しています。
脈が速くなる頻拍性不整脈の治療には、それが生命に危険が無ければ経過観察となります。しかし、治療が必要と診断した場合は、抗不整脈薬などの薬物療法、余分な電線をカテーテルで治療するカテーテルアブレーションが適用となります。カテーテルアブレーションについては、高度医療機関と協力して対応しています。 さらに、脈が遅くなる徐脈性不整脈の治療には、ペースメーカー植込み手術を行っています。
また、当院は岐阜県(同じグループ病院の市立恵那病院など)など、遠方から当院を頼ってこられる患者さんもいらっしゃいます。ペースメーカーの「安全性の高いインターネット」を用いた、遠隔ペースメーカー管理も当院では積極的に行っています。この対応は医療上のメリットのみならず、遠方の患者さんにとっては病院と常につながっている安心感があるとの言葉をいただいております。
もちろん、MRI対応のペースメーカー植え込み患者さんのMRI検査も当院で対応しています。
3.心不全
心臓機能が低下した状態を心不全と表記します。原因は多岐に渡ります。 重症度も軽症から、心移植を考慮するような重症な患者さんまで対応しています。
軽症の方には、原因検索を行い、治療可能であれば原因に対する治療を行います。さらに、薬物治療、栄養指導、運動指導(心臓リハビリテーション)を集学的に行うことも大切です。急に症状が出現する急性心不全や、安定した慢性心不全に対する外来加療、いずれも対応しています。
【心不全になると、どんな症状が現れるの?】
- 息切れ:特に、運動時や横になった時に息苦しくなります。
- むくみ:足や足首、お腹などにむくみが出ることがあります。
- 疲れやすさ:少し動いただけでも、ひどく疲れを感じます。
- 動悸:心臓がドキドキしたり、脈が速くなったりします。
- 咳:特に夜間に咳が出ることがあります。
これらの症状は、心不全の程度によって異なります。
【心不全の原因は?】
心不全の原因はさまざまですが、主なものとして以下の病気が挙げられます。
- 心臓の病気:狭心症や心筋梗塞、心臓弁膜症、心筋症など
- 高血圧
- 糖尿病
- 不整脈
- 腎臓病
- 甲状腺の病気
【心不全と上手く付き合っていくために】
心不全は、根気強く治療を続けることが大切です。医師の指示に従い、適切な治療と生活習慣の改善を継続することで、症状の改善や進行の抑制が期待できます。
当院循環器内科は、日本循環器学会教育研修施設であり、患者さん一人ひとりの状態に合わせた最適な医療を提供いたします。
- 冠動脈、弁膜症はもとより、心筋症に対する心筋生検も行います。
- 最新の医療機器を用いたデバイス治療(ペースメーカーなど)
- 患者さんの生活習慣改善をサポートする(塩分制限、水分制限、体重管理、禁煙など)、心臓リハビリテーション
4.弁膜症疾患、大血管
(大動脈弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症、大動脈解離、大動脈瘤)
過去には、大動脈弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症、大動脈瘤や大動脈解離などの疾患は、外科的手術しか治療方法はありませんでしたが、現在は、侵襲の低いカテーテルで弁疾患や大動脈疾患を治療できるようになりました。心臓血管外科的手術かカテーテル治療かの選択は、詳しく検査して選択する必要があります。
当院で検査の上、治療が必要と診断した場合には、高度医療機関に治療をお願いし、治療後の定期検査を当院で行うことができます。
【弁膜症疾患とは?】
心臓には血液の逆流を防ぐための弁が4つあります。弁膜症疾患とは、これらの弁がうまく機能しなくなる病気です。弁が狭くなったり(狭窄)、閉じにくくなったり(閉鎖不全)することで、血液の流れが滞り、心臓に負担がかかります。
≪主な症状≫
- 息切れ
- 動悸
- 胸痛
- 疲れやすい
≪代表的な疾患≫
- 大動脈弁狭窄症
- 僧帽弁閉鎖不全症
【大血管疾患とは?】
大血管とは、心臓から全身に血液を送る大動脈や、肺に血液を送る肺動脈などの太い血管のことです。大血管疾患とは、これらの血管に生じる病気です。
≪主な症状≫
- 胸や背中の激しい痛み
- 失神
- 手足の冷えやしびれ
≪代表的な疾患≫
- 大動脈瘤
- 大動脈解離
当院は心臓血管外科併設施設ではないため、外科手術、カテーテル治療はできませんが、
・TAVR(経カテーテル的大動脈弁置換術)指導医
・胸部ステントグラフト 実施医
・腹部ステントグラフト 指導医
・SHD(構造的心疾患)心エコー図認証医
が在籍しており、高次医療機関での治療が必要かどうかの、適切な判断は可能です。
5.末梢血管(下肢動脈、腎動脈、頸動脈、鎖骨下動脈など全身の動脈・静脈の狭窄や閉塞)
当院では心臓血管のカテーテル治療を行っている循環器内科医が、心臓から領域を超えて血管治療を行っています。特に下肢血管病期の治療は、生活療法、薬物療法を基本とし、必要に応じて血管内治療(EVT)を選択します。
「最近、歩くと足が痛くなる」「足が冷えて、なかなか温まらない」そんな症状はありませんか?もしかしたら、それは閉塞性動脈硬化症のサインかもしれません。
下肢閉塞性動脈硬化症(ASO、もしくはLEAD)は、動脈硬化によって足の血管が狭くなったり、詰まったりすることで、血流が悪くなる病気です。進行すると、安静時にも痛みが出たり、足の指が壊死したりすることもあります。
【こんな症状があれば要注意】
- 歩くと足(特にふくらはぎ)が痛くなり、休むと良くなる(間歇性跛行)
- 足の冷えやしびれ
- 足の爪の変形や色の変化
- 足の傷が治りにくい
【早期発見・治療が大切】
閉塞性動脈硬化症は、放置すると重症化し、最悪の場合、足を切断しなければならないこともあります。しかし、早期に発見し適切な治療を行えば、症状の進行を抑え、健康な生活を送ることができます。
当院では、患者様一人ひとりに合わせた最適な治療をご提供します。
- 専門医による丁寧な診察と検査
- 患者様の状態に合わせた薬物療法、運動療法、カテーテル治療、外科的治療
- 生活習慣改善のアドバイス
- フットケア外来
〇当院の役割
名古屋西部地区の市民病院として、地域の皆様がアクセスしやすい医療機関であるとともに、必要な際には高度医療機関と連携することが大切と考えています。
〇謝辞
連携を快諾いただきました、高度医療機関の皆様に感謝申し上げます。(50音順)
- 愛知医科大学
- 一宮市立市民病院
- 岐阜ハートセンター
- 名古屋掖済会病院
- 名古屋ハートセンター
- 日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院
- 藤田医科大学付属 ばんたね病院